マルクノイキルヒェン訪問記

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 ドイツの弦楽器作りといえば、ドイツ南部バイエルン州のミッテンヴァルトと東部のマルクノイキルヒェンが有名である。両者は地理的には離れているが、深い森と山に囲まれているという点で共通している。森があるということは木材が豊富であり、様々なパーツで木材を使用する弦楽器作りに適しているといえる。

 弓作りはほとんどがマルクノイキルヒェンで行われていて、ホイヤー(Hoyer)、デーリング(Dölling)、プレッチナー(Pfretzschner)などの有名メーカーはみなこの町で製作している。

 マルクノイキルヒェンはかなりマイナーな土地で、電車は通っていない。そのため僕はライプツィヒ→ツヴィッカウ(Zwickau)→アドルフ(Adorf)まで電車で行き、その先はバスという旅程で向かった。ただ実際には偶然近くにいた親子が車に乗せてくれたので、楽をさせてもらった。アドルフからは車で片道30分ほどである。

 今回訪問したのは、ホイヤーとプレッチナー、それにパウルス(Paulus)だ。デーリングとウェーベル(Uebel)、ヴンダーリッヒ(Wunderlich)、ニュルンベアガー(Nürnberger)も行きたかったのだが、時間がなくて行けなかった。各工房の間がかなり離れているので、各店を回るのであれば車が必須と思う。

ギュンター・ホイヤー Günter Hoyer
 コントラバス奏者に大人気のホイヤー。僕の今回のお目当てもホイヤー工房で、自分のホイヤーの修理と、新しい弓を試奏をさせてもらった。現在のホイヤーは、先々代のギュンター・ホイヤー氏から数えると3代目にあたる、ヴィリー・ホイヤーが製作している。彼は30代くらいで、やる気満々の作者である。
 彼によると、僕の所有しているホイヤーは彼の祖父にあたるギュンターの作。代ごとに微妙に異なるので一目でわかるそうだ。いくつか不具合があったので、直してもらい毛替えもしてもらった。
 ヴィリーによるとマルクノイキルヒェンの弓作りは現在かなり縮小気味で、今マイスタークラスの弓を作っているのは、自分くらいだと言っていた。実際に街はかなり静かで、ほかの工房はみな閉鎖されたか、お爺さんが一人で年間数本作っているに過ぎない様子である。ちなみに往時(戦前~東ドイツ時代)にはプレッチナー家は40人近く雇っていたらしい。実際にプレッチナーの工房はかなり大きな建物だった。しかし、現在はそのがらんどうの中一人で製作している。

 ちなみに新作弓の価格はドイツでもかなり上がっている。日本にいたときに高すぎると感じていたが、ドイツで出来立てを買っても高いということが分かった。

ホイヤーの工房の様子。許可をもらって撮影させてもらった。
一人で完全なる手作業で作っている。

入口
ホイヤーの工房
ニスを乾かしているところ。薄く何度も何度も繰り返し塗っているとのこと。(ホイヤー工房)
ホイヤーの弓。様々なモデルがある。
上2本がプレッチナー・マルクノイキルヒェン。下から2番目は、ホイヤーのノーマルモデル。一番下はホイヤーのドリン・マルクモデル。

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